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命を懸けて、奄美を描いた日本画家を、あなたはしっていますか?
  旅する前に味わっておきたい
 
田中一村作品集〔新版〕
田中一村作品集〔新版〕
解説:中野惇夫・大矢鞆音/編:NHK出版/発行:日本放送出版協会/価格:2800円+税
 

画材は暮らしを切り詰めて上野の得応軒から取り寄せていた。部屋には画材のほかは、少々の調理道具と食器があるくらいで、文字通り赤貧洗うがごとしといった清貧ぶりだった。酒もタバコもたしなまず、お茶さえ節約して飲まなかったという。小さな菜園を借りて野菜を作り菜食を通し、朝「歩行訓練」と称する散歩が日課だった。
(P4・中野惇夫氏の解説より)  

 今回ご紹介する「田中一村(たなかいっそん)作品集」は、奄美大島へ旅にでるまえには、ぜひ手に取って欲しい一冊。そうして絵を眺めながら、奄美ってどんなところかな、と想像を膨らせ、まずは空想のなかで旅を楽しむのです。
 そしてそれから奄美を実際に歩くと、「あぁ、この風景はあの絵に描かれていたなぁ〜」と思う瞬間に、何度か遭遇することに。そうして、あの絵を描いた日本画家が、たしかに晩年をこの島で暮らしたことを実感し、ひたひたと感動がこみあげてくるのです。

 本作品集は、千葉、奄美、四国・九州の旅、南画、素描などという具合に、構成されています。
 ちなみに私がこの作品集に掲載されている絵のなかで、ぜひ我家に飾りたいな、と思った作品は、千葉時代の「白い花」(昭和22年)と、千葉時代の襖絵「花と軍鶏」(昭和28年)と、同じく千葉時代の襖絵の「白梅図」(昭和33年))。ま、これは好みの問題ですけれども。

p10-11

千葉時代の作品「白い花」
p34-35
奄美時代の作品
「ダチュラとアカショウビン」
p90-91
「素描・エビ」
 そうなんです。じつは奄美時代の作品は、どうも部屋に飾る気がしないのです。だって、奄美時代の絵は迫力があり過ぎるような気がするから。だから、もしも私の部屋に飾ったら、私がその絵に負けて、疲れてしまうような予感が。  
 たとえば作品集の表紙にもなっている奄美大島で描かれた「アダンの木」(昭和47、8年頃)などは、観ていると、向こうからひたひたと潮が寄せてくるようで、なんだか怖いし。 
 「奄美の杜H」〜ビロウとアカショウビン〜(昭和37年)に描かれているアカショウビンは、いまにもパカっと大きなクチバシを開き飛び立ちそうで気持ちが落ち着かないし。

 作品集の終わりに添えられた大矢鞆音氏の解説「田中一村の作品世界 ―旅とスケッチ―」に、下記のようなくだりがあります。

一村の存在をはっきりと印象づけた奄美の作品のほとんどが、その素材として絹本を選択し、祈るような慎重な手順の中で描かれている。制作のプロセスも、画家としての心持も千葉時代と比べてそう大きくは変わっていない。変わったとすれば、絵に向うときの情念と信念のちがいということにつきる。(P105)
 一村さんが奄美大島時代に描いた「奄美の杜」シリーズには、11作品と、未完の2作品があります。いずれも、紙、ではなく、絹、に描かれています。空調機がなく、網戸もない生活で、亜熱帯の奄美大島で部屋にこもり繊細な絵をえがくことは、傍から見ていたら、きっと物凄く息苦しい光景だったろうと想像。小さな羽虫が舞い込み、絵のうえにポトリと落ちたら困るから、きっと一村さんは蚊帳のなかで筆をとったのだろうけど、蚊帳のなかは暑そう。絵に汗を落としたら台無しだし。なんだか大変そう。

東洋絵画の名品には絹本に描かれているものが多いことからみても、絹に描くということは、一種のハレの日の挑戦といってもよい。画家が本当に真摯な態度で臨まないと、その成功はほど遠いものとなってしまう。絹に描くという事の中に、居ずまいを正し、正座して描くというほどの決意があるはずだ。一村が奄美での作品の、その制作に寄せる決心は並々ではない。その成功を祈りつつ描きつづけた姿を私は想像する。そこに一村の美学と、最後の戦いにかける覚悟が見える。(P106)

奄美大島の風景
 そして、なぜ一村さんの絵に多くの人たちが魅了されるかと言えば、まさに下記のとおりなのではなかろうかと思うのです。
(前略)一村という画家の魅力は単に作品だけではない、一人の人間としての生き方の中に、多くの人の心を惹きつけてやまないものがある。自分ではできなかった思い切った人生の決断、生き方を、一村が果たしていることに共感を覚えるのであろう。一村に関わるとき、覚えず深く、その人間性の魅力につかまってしまう。その人間性を通して改めて、その作品と対峙することになる。(P107)

 本作品集をじっくりと眺め、前回ご紹介した一村さんの人生が記されている文庫本も併せて読んで、それから、奄美へでかけてみませんか?

 きっと、あなたにもっともっと奄美大島が肉迫してくるから。

(文:はるか)

奄美大島情報 : http://www.churashima.net/shima/amami/index.html

田中一村記念美術館 : http://www.amamipark.com/isson/isson.htm

この本欲しい方はこちらをご覧ください。NHK出版:
http://www.nhk-book.co.jp/shop/main.jsp?trxID=0130&webCode=00092912001
映画「アダン」公式ホームページ:http://www.adan-movie.net/
「日本のゴーギャン 田中一村伝」  http://www.churashima.net/books/200605/01.html

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