古酒を造り続けなさい。
必ず古酒の時代がやってくるから。
創業者の古酒への思いが受け継がれ、今なお作った分の7割を、貯蔵熟成させています。
先のことは分からない、でも寝かせ続けていると、未来が見えてくる。
古酒造りは平和の象徴。
いつの世までも平和な沖縄が続けば、琉球王朝時代のように、200年古酒を振舞える時代がやってくる。
創業者は本部町で酒造所を始めたとき、山原(ヤンバル:沖縄本島北部、恩納村以北の地域の呼称)で、美味しい泡盛なぞ作れるはずがない、と、首里の蔵元に言われ、ならば創ってみせましょう。と奮起。
琉球王朝時代、泡盛作りは首里の3字(あざ)にのみ許された仕事で、歴史がありプライドを持っていたから、ヤンバルの山奥で泡盛なんか造れないと思われたのでしょうね。
試行錯誤とこだわりで、まろやかな風味の泡盛を生み出しましたが、近所の人がビンをもってきて量り売りで買いに来る程度の酒造所でした。
現社長は3代目。2代目(現会長)から、おまえのやりたいようにさせる、口出しはしないから戻って継いでくれと言われ、ならばとウイスキー会社を辞め、山川酒造を継いだ。
口うるさいおやじが口出ししないのならやってみようかなと思ったんですよ。
古酒造りには時間が必要です。しかし、琉球王朝時代には中国からの冊封使の一行に半年飲ませるだけの100年古酒200年古酒があたりまえにあった。
戦争ですべてが焼き尽くされなかったら、100年古酒も今なお残っていたに違いありません。それはどんなに美味しかったことでしょう。
私たちの手で、もう一度、100年古酒を世に送り出したい。
そんなロマンを持ちながら、酒作りに勤しんでいます。
もちろん、100年古酒が山川酒造で生まれるのは、まだずっと先のこと。
私の代、弟の代では無理な話ですが、子供たちの時代になってやっと貯蔵100年を迎えることになります。
子孫がその夢を実現してくれたら幸せです。
実は、自分の土地を田んぼにしてタイ米を作り、その米で泡盛を作ってみようかと思っているんですよ。と、新しい試みにも前向きです。
現在の銘柄は、さんご礁、珊瑚礁、さくらいちばん、やまかわ、かねやまなど。
『珊瑚礁』が読めないとよく言われたので、ひらがな名の『さんご礁』も発売しました。
珊瑚礁の由来
山川の酒は以前、『かねやま』『やまかわ』としか呼ばれていませんでした。海洋博のとき、銘柄をつけたらどうかといわれたのをきっかけに名づけられた。
本部には豊かな珊瑚礁の海がある。珊瑚礁は長い年月をかけて成長し広がっていく。それは山川の仕事である、古酒造りと同じ。珊瑚礁のように時の流れのなかで素晴らしい古酒になるようにと願いを込めて。


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