石垣市新川にある(有)請福酒造。
創業は1949年。現在は2代目の漢那憲二さんが社長で杜氏も勤めています。
漢那憲二さんは、原料米や水にもこだわりながら、徹底してそれを消費者に伝えています。中身のわからないものは作らないし売らない。また、酒造りには妥協は一切しない。そんな酒造り一筋の生き方をしている素敵な方です。
請福酒造は泡盛造りにこだわりながら、泡盛の新しい飲み方への試みも探求しています。
商品的にはリキュールになりますが、泡盛をベースにして、パッションフルーツやマンゴーの果汁に沖縄産の黒糖を加えて作った果実酒『南国果樹園』や、和歌山の梅と沖縄産の黒糖を使った梅酒『請福梅酒』など、新しい商品も送り出しています。
焼酎乙類の本場泡盛だけを商品として製造販売するだけではなく、泡盛をアレンジした商品を造ることによって、泡盛の飲み方を広げ、若い女性でも気軽に飲める泡盛商品の開発にも力を注いでいます。
また、日本一小さな蒸留所として、請福酒造泡盛博物館内に開設された漢那蒸留所では、機械を一切使わない、完全造りでの泡盛造りも行なっています。
手造り泡盛は、憲二さんの奥様、漢那恵子さんがすべて行なっています。
機械化された設備で生まれる泡盛は、大量に作ることが可能で管理も楽ではありますが、昔からのやり方で手造りにこだわった泡盛造りをしたいと考えていて、2006年からはじめたのですが、泡盛造りってとても難しいんですよ。
自分で造る前は、お米洗って蒸して黒麹菌撒いて寝かせてモロミ作って蒸留すれば泡盛ができると思っていましたけど、それは頭で製造過程がわかっているだけに過ぎませんでした。
いざ、米を目の前にすると、何をどうしていいのやらさっぱりわからず、ひとつひとつ失敗しながらも主人のアドバイスをメモ用紙に書き取り続けて手探りで泡盛造りを覚えました。
完全手造りですから、温度や湿度の管理ももちろん人の仕事。
一度米を蒸すと、一晩泊り込んで麹の様子を見守らなくてはなりません。
黒麹菌を十分に育てていく温度は36度〜38度で一定させなくてはいけないのですが、ほおっておくと夏場は温度が上がりすぎて、また冬場には温度が上がらずに死滅してしまいます。
だから1時間ごとに温度を確認して、一晩温度を一定に保ってあげなければいけません。
麹を育てるのは赤ちゃんを育てるのと同じなんです。
喋れないから、細かく様子を見てかまってあげないといけないのです。
手作りで少量生産だから1回の仕込で作れる泡盛は一升瓶で20本分ほど。そうやって手をかけて思いをかけて生まれた泡盛が蒸留器から流れ出てきたときは、いつも感動します。
大変ですけどね。
と仕込み作業が一段落ついたときの微笑み顔は、おばあが赤ちゃんを見つめているような眼差しでした。
漢那蒸留所では黒麹を蒸し米につけるための作業体験を希望者にも行なっていただいています。毎日作っているわけではありませんので、作る日を確かめた上で申し込んでくださいね。
※香りが米に移ると酒の味に影響するので、香水は禁止です。

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